オタク男子の勉強日記

コンピュータサイエンス、データサイエンスの日々の勉強日記

続.Conditional Monte Carloの金融工学への応用

前ブログの定理の証明を書きます。

この証明のキーポイントは

\hat{F}_{n; R}^{Cond}(\hat{q}) -  \hat{F}_{n; R}^{Cond}(q) = (\hat{q} - q)f_{n}(q)(1+o(1))           (1)

という式を示すことです。実際、

\hat{F}_{n;R}^{Cond}(\hat{q}_{Cond})=\alpha=F_{n}(q)が成り立つことに注意すると、(左辺はサンプルから推定したVaRボーダー、右辺は実際のVaRボーダーについての式ですね)

0=\hat{F}_{n, R}^{Cond}(\hat{q}) - \hat{F}_{n; R}^{Cond}(q) + \hat{F}_{n; R}^{Cond}(q) - F_{n}(q)=(\hat{q}-q)f_{n}(q)(1+o(1))+\frac{\sqrt{Var(F(q-S_{n-1}))}}{\sqrt{R}}V(1+o(1)) 

となり、(V~N(0, 1)です)この式を変形すれば示せます。

f_nを連続とします。

\hat{F}_{n, R}^{Cond}(\hat{q})-\hat{F}_{n, R}^{Cond}(q)=(\hat{q}-q)\hat{f}_{n,R}^{Cond}(q^{*})

をみたすq^{*}\hat{q}qの間にあります。

fを広義単調減少と仮定すると、十分大きなRに対して|\hat{q}-q|\leq\epsilonなので

\hat{f}_{n;R}^{Cond}(q+\epsilon)\leq\hat{f}_{n, R}^{Cond}(q^{*})\leq\hat{f}_{n,R}^{Cond}(q-\epsilon)

がそのRに対して成り立ちます。

 この式と\hat{f}_{n,R}^{Cond}(\cdot)の一致性より、

\hat{f}_{n, R}^{Cond}(q^{*})⇀f_{n}(q)

となり、(1)式が示せます。

 

この記事を読んだ方の中には、S_{n-1}が与えられた中でのS_{n}の条件付き分布の\alpha分位点を、R回繰り返す、という方法をとったほうがより単純にVaRを推定できるのでは?と思うかもしれません。しかし、この方法での推定値はR⇀\inftyにしてもバイアスがあります。

これはi.i.d.でN(0, 1)の例を考えれば単純で、推定値は

\tilde{q}=S_{n-1}+z_{\alpha}     (z_{\alpha}=\Phi^{-1}(\alpha))

となりますが、

 \sqrt{n}z_{\alpha}が正しい推定値です。